ブラッド・ブラザーズ

2022年3月24日(木) 13:00~ (東京国際フォーラム ホールC)
柿澤勇人さん、ウエンツ瑛士さん、木南晴夏さん、鈴木壮麻さん、内田朝陽さん、伊礼彼方さん、一路真輝さん、堀内敬子さん、家塚敦子さん、岡田誠さん、河合篤子さん、俵和也さん、安福毅さん、黒田陸さん、町屋美咲さん

久しぶりの観劇が、結構重い題材でぐったり…。舞台から受け取るものはとても大きくて、仕事で文字を読む脳と観て聴いて理解する脳は違うんだな、と妙に納得した。
それにしても、なぜホリプロは辛い作品を次々上演するのだろう。

あらすじ(公式サイトより)-----------
リヴァプール郊外で双子の男子が誕生した。双子の一人であるエドワード(ウエンツ瑛士)は裕福なライオンズ夫妻(一路真輝&鈴木壮麻)に引き取られ、もう片割れのミッキー(柿澤勇人)は、実の母親ミセス・ジョンストン(堀内敬子)と兄サミー(内田朝陽)のもとで貧しくも逞しく暮らしていた。正反対の環境で育った二人はお互いが双子であることを知らないまま、7歳で出会って意気投合し義兄弟の契りを交わす。しかしミセス・ライオンズは我が子エドワードを実の母親にとり返されることを恐れ、ライオンズ一家が転居。エドワードとミッキーは今生の別れをしたはずだった。そのうちミッキーの家が取り壊しとなり、移り住んだ先は偶然エドワードの家の近く。

15歳になった二人は再会し、固い友情を育むようなる。エドワードとミッキー、そして幼馴染みのリンダ(木南晴夏)は恋と希望に溢れた青春の日々を謳歌する。しばらくしてエドワードは大学に進学。ミッキーは工場に勤め、リンダの妊娠を機に結婚。大人として現実を生きはじめた二人の道は大きく分かれていった。不景気により失業したミッキーは、ついに犯罪に手を染め薬漬けに。議員となったエドワードはリンダを通してミッキーを支えるが、運命は二人を容赦しなかった…。
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ストーリーは辛かったけど、すごく引き込まれる作品だった。
双子たちの数奇な運命のお話かと思っていたら、実は彼らを生んだ母のお話だった。身勝手な大人に翻弄された子供たちの話とも言えるし、貧富の差がもたらした悲劇とも言える。どこに、誰に着目して観るかで、かなり印象の違う作品になりそうだなと思った。

最初にナレーターが結末を教えてくれるのでそれを踏まえて観ていくわけだが、前半は楽しいシーンも多くて笑いも結構出ていた。小学校のシーンにどう見ても「おじさん」な子が混じっていたのがツボ(笑)。
ちなみに、このミュージカルで一番歌っていたのはナレーターの伊礼さんだと思う。ひたすらいい声で歌いまくっていた。

その次に歌っていたのがミセス・ジョンストンの堀内さん。アカペラから始まる歌もあって聞かせどころがたくさんあったが、それぞれの歌がちょっと長いなと思った。一幕はよかったけれど、特にラストがね。楽曲がいじれないなら、あそこはもう少し演出で何とかしてほしかったな。

堀内さんの演技は素晴らしくて、彼女の表情を観ているだけで泣けてくる。ミセス・ジョンストンが子供たちを愛していることが彼女の演技からよく伝わって来たので、最後にミッキーから浴びせられる「どうして自分を手放してくれなかったのか」という言葉が辛かった。

もう一人の母親、ミセス・ライオンズは一路さん。彼女の気持ちもわからなくはないが、異常に子供に執着していてちょっと怖かった。一路さんが迫真の演技でその病的な神経質さを表現されていて、あの後ミセス・ライオンズが壊れてしまわないかとても気になる…。

ミスター・ライオンズと、若い頃のミセス・ジョンストンの元夫を、どちらも壮麻さんが演じているのも皮肉が効いていると思う。壮麻さんは爽やかなのに、どちらの夫も難あり…。
ところで、不景気で従業員を解雇するのは経営者としては当然の判断だが、「ご時世」の一言で片づけられるのは辛いわぁ。

双子のキャスティングはどちらもハマっていた。
ウエンツさんは上品なぼっちゃんが似合っていたし、カッキーは悪ガキでこじれてる感じが素晴らしかった。7歳でも違和感なし。
14歳の頃の二人が一番好きかな。二人で歌う歌がもっとあるのかと思っていたので、そこは少々物足りなさを感じたけれど、早く大人にならざるを得なかったミッキーの鬱屈していく様子がとてもリアルで、カッキー上手いなと思った。

二人の幼馴染リンダは木南さん。彼女の、年代に合わせた演じ分けもよかった。リンダはサミー兄ちゃんを恨んでもいいと思う。この悲劇の半分くらいはサミーのせいだもんね。サミーがああなったのは、彼だけのせいではないけれど。
ちなみにサミーを演じている内田さんは大柄なので、兄さんすごい迫力で怖かった。


舞台作品としてはとても楽しんで観劇できた。ただ内容を考えると、もう少し小さい劇場の方が合ってるかなと思う。ギュッとした空間で浸る方がより入り込めそう(観劇後、鬱になりそうだけど)。

ところで、今日一番驚いたのは、客席降りの演出があったこと。コロナ禍になってからこういった演出はなくなっていて、もうしばらくないかと思っていたので。おかげでカッキーの狂気を宿した目を近くで見られたけれど、キャストにとってはリスクが高いのではないだろうかと、若干心配ではある。

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